●ラッキーガール〜お金が集まる〜(7章「宝くじで見られる夢」)



 年末ジャンボ宝くじを買った。この文章は十二月二十七日に書いたものなので、現時点ではまだ抽せん結果が出ていない。今回の宝くじには、確固たる目的がある。そう、それは新婚旅行である。最近、新婚旅行で行きたい場所ができた――極寒の地フィンランドだ。フィンランドでオーロラを見たい。サンタクロースに会って、これまでの人生で彼に見せてもらった夢について、感謝の意を伝えたい。しかし、わたしたち夫婦には新婚旅行をできるほど金に余裕がないので、年末ジャンボ宝くじに希望を託したというわけだ。
 もしも抽せんに当たるとしたら、百万円くらいが理想だ。一千万円でもいい。ただ、一億円以上となると人生が狂ってしまいそうだから、やっぱり一千万円くらいがいいな。ところで、肝心のわたしが買った宝くじ券の枚数だが、たったの一枚である。当てる気はあるのか? まあ、一枚でも買えば少なくともチャンスは手に入る。
 このようなどうしようもない夢物語を、だれもが一度は妄想したことがあるだろう。けれども、どんなにステキな夢物語を描いたところで、実際の宝くじ券はあっけなく空くじへと姿を変えるのみ。毎年、本気で夢を思い描くのに、三百円すら当たったためしがない。しかし、わたしは宝くじの本質とは、この妄想する時点にこそ宿っていると考える。
 人間みんな馬鹿ではないので、「もしも明日、一千万円がもらえたら……」なんて妄想はタダではできるものではない。もしも本気で一千万円がもらえる妄想をできる奴がいたとしたら、「おめでとうございます、あなたが当選しました」というタイトルで送られてくるフィッシングメールにまんまと騙される程度の知能しかないはずだ。みんながみんな、本心はもっとシケている。馬鹿げた妄想をするくらいなら、その時間働いた方がまだマシ。
 しかし、一枚でも宝くじ券を買った場合は、話が変わってくる。抽せんに当たる可能性は極めて低いものの、それだけで一千万円を手に入れる可能性がゼロではなくなるのだ。宝くじに三百円以上の投資をすれば、《一千万円を手に入れる妄想をする権利》が手に入る。宝くじ券を買うだけで、正気の沙汰であの馬鹿げた妄想をする言い訳ができるのである。


他タイトル一覧
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